本格カオマンガイを作るなら、おいしさの決め手は鶏肉だけではありません。丸鶏を穏やかにゆで、そのスープを米と添えスープに使い、鶏脂から取った鶏油でジャスミンライス(タイの香り米)を香味野菜と炒めてから炊きます。
仕上げに添えるのは、タオチオ(タイの発酵大豆調味料)を主役にしたタレ。塩味・甘味・酸味・辛味を重ね、鶏肉と鶏油ごはんを一緒に食べたときの味を引き締めます。
この記事では、丸鶏から仕込むタイ現地式のカオマンガイレシピを紹介します。皮付きのゆで鶏、鶏油ごはん、タオチオだれ、冬瓜スープまで、4〜5人分の作り方を10の工程でまとめました。

3秒チェック
- 難易度
- 上級寄りの中級
- 調理時間
- 2時間前後を想定。実調理では未計測
- 辛さ
- 鶏肉・ごはん・スープはほぼ辛くない。タレの唐辛子で調整
- 材料費
- 購入先・丸鶏の価格・使用するタイ食材で変動
- 人数
- 4〜5人分
- 日本での作りやすさ
- 丸鶏と、タイ食材店・アジア食材店で扱う調味料を用意
※この分量は試作前の設計です。調理時間、米の水分量、味のバランス、できあがりの量は、実調理での確認前です。
※料理・工程の写真は説明用の生成イメージです。実際の調理・試食の記録ではありません。
このレシピの特徴
- 皮付き丸鶏を穏やかに加熱し、肉とスープの両方を使う。
- 鶏脂から鶏油を作り、ジャスミンライスを香味野菜と炒めてから炊く。
- タオチオとにんにくの甘酢漬けを使い、タイ式のタレを作る。
- 冬瓜入りの鶏スープまで、一皿を構成する料理として仕上げる。
今回の本格版で採用したスタイル
今回は、丸鶏をゆでる鍋と、米を炊く炊飯器を分けます。鶏の火入れを先に確認し、取れたスープと鶏油をごはんへつなぐ作り方です。
鶏は十分に加熱してから氷水に短く移し、余熱の入り方と皮の状態を整えます。ごはんにはしょうが・にんにく・エシャロット、タレにはタオチオと漬けにんにくを使用。添えスープには冬瓜を合わせます。
タイのカオマンガイにも店や家庭による違いがあります。氷水の使用やタレの配合まで全店で共通という意味ではなく、今回はこの組み合わせを採用しています。
材料(4〜5人分)

A|鶏と基本スープ
- 皮付き丸鶏
- 1羽、1.4〜1.6kg
- 水
- 3.0〜3.5Lが目安。鍋の中で鶏全体が浸かる量
- しょうが
- 20g、厚めの薄切り
- パクチーの根
- 10g、約3〜4本が目安
- パンダンリーフ(香り付けに使う葉)
- 10〜15g、約2〜3枚
- 塩
- 18g
- 氷砂糖またはロックシュガー
- 15g
- シーユーカオ(タイの淡色しょうゆ)
- 15g
B|鶏油
- 鶏の腹腔周辺などの余分な脂・皮
- 80〜100g程度。不足する場合は別売りの鶏皮を補う
鶏油は約45〜50mLを取ることを目標にします。このうち45mLをごはん用に計量します。鶏の表面にも塗る場合は、余分に取れた分を別に少量使い、ごはん用45mLから差し引かないでください。取れる油の量は脂・皮の状態によって変わります。
C|鶏油ごはん
- 古米タイプのジャスミンライス(タイの香り米)
- 400g
- Bで取った鶏油
- 45mL
- しょうが
- 30g、細切りまたは薄切り
- エシャロット(小型の玉ねぎの仲間)
- 30g、薄切り
- にんにく
- 合計35g。普通のにんにく25g+タイにんにく10gが目安
- Aの鶏をゆでたスープ
- 650mLを試作開始量とする
- パンダンリーフ
- 1枚、結ぶ
タイにんにくは、小粒で香りの強いにんにくです。入手できる場合に使います。エシャロットは、若採りらっきょうの「エシャレット」とは別の食材です。スープは新たに650mL作るのではなく、鶏をゆでた鍋から取り分けます。
D|タイ式タオチオだれ
- タオチオ(タイの発酵大豆調味料)
- 55g
- シーユーカオ(タイの淡色しょうゆ)
- 40g
- シーユーダムワーン(甘みのあるタイの濃色しょうゆ)
- 20g
- 米酢または穀物酢
- 20g
- パームシュガー(ヤシ由来の砂糖)
- 32g
- しょうが
- 35g
- タイの赤唐辛子
- 6〜8gを目安に、辛さに応じて調整
- にんにくの甘酢漬け
- 15g
- にんにく甘酢漬けの漬け汁
- 15g
- しょうがのみじん切り(仕上げ用)
- 好みで適量。上の35gとは別
- タイの生唐辛子のみじん切り(仕上げ用)
- 好みで適量。上の6〜8gとは別
タレは全体で4〜5人分です。しょうゆ類や漬け汁は、mLではなくgで量ります。辛さが苦手な人も食べる場合は、唐辛子を混ぜる前に必要な分を取り分けておきましょう。
E|冬瓜スープ
- Aの鶏をゆでた残りのスープ
- 米用650mLを取り分けた後から、約1.2〜1.5L
- 冬瓜
- 皮・種・ワタを除いて500〜600g
- 白こしょう
- 少量
- パクチー
- 適量
- 塩またはシーユーカオ(味の調整用)
- 必要な場合だけ少量
F|添え物・冷却用
- きゅうり
- 1本、約150〜200g
- パクチー(盛り付け用)
- 適量
- 飲用できる冷水と氷(鶏の冷却用)
- 清潔な容器で鶏を浸せる量
- 鶏油(鶏の表面用)
- 好みで薄く塗る分。ごはん用45mLとは別
できあがったタレは別添えにし、冬瓜スープは1人1杯を添えます。塩・シーユーカオ・しょうが・パンダンリーフ・パクチーには複数の用途があるため、使う分ごとに分けて準備してください。
タイ食材の解説
古米タイプのジャスミンライス

ジャスミンライスは、タイの香り米です。今回は古米タイプを基本にします。米袋の表示を確認し、普通の日本米や新米のジャスミンライスへ変える場合は、香りだけでなく吸水と炊飯条件も変わることを意識しましょう。
タオチオと2種類のタイしょうゆ

タオチオは、発酵させた大豆を使うタイの調味料です。今回は豆の風味をタレの中心にし、シーユーカオで塩味とうまみ、シーユーダムワーンで甘みと濃い色を加えます。
シーユーダムワーンは、日本の濃口しょうゆと同じものではありません。似た名前の商品でも甘みや塩味が異なるので、買うときは商品名と表示を確認してください。タオチオも日本のみそへ最初から置き換えず、今回の基本材料として用意します。
漬けにんにく・パームシュガー・唐辛子

にんにくの甘酢漬けは、にんにくだけでなく漬け汁も計量して使います。今回はこの両方を入れるタレにし、パームシュガーの甘み、酢の酸味、しょうがと唐辛子の刺激を組み合わせます。
タイの赤唐辛子には種類があり、同じ重さでも辛さは一定ではありません。6〜8gは基準量で、辛さが苦手なら減らすか省き、食べる人に合わせて後から足します。
パクチーの根・パンダンリーフ・冬瓜

パクチーの根は、土をよく落として軽くつぶし、基本スープの香り付けに使います。葉は仕上げと添え物に使うため、根と使う場所を分けましょう。
パンダンリーフは、スープやごはんに香りを移す葉です。結んで入れ、食べる前に取り除きます。冬瓜は皮・種・ワタを除いた可食部分を量り、鶏スープを含ませるように煮ます。
入手できない材料があるとき
- 古米タイプのジャスミンライス
- 通常のジャスミンライスも選択肢。ただし米の状態が変わるため、スープ650mLを共通の適量とせず再確認する。
- タイにんにく
- 日本で一般的なにんにくへ置き換え、全体の35gは維持する。香りの違いは残る。
- タオチオ
- 今回の基本では代用しない。日本のみそを使う配合は、別の家庭向けレシピとして考える。
- パームシュガー
- どうしてもない場合は砂糖で甘みを調整できるが、香りやコクは変わる。甘さを確認しながら使う。
- シーユーダムワーン
- 日本のしょうゆを同量入れる置換にはしない。甘みと塩味、色の出方が異なる。
- パンダンリーフ
- 入手できない場合は省略可。香りは変わるが、人工的な代用品を無理に加えない。
本格カオマンガイのおいしさを決める4要素
1|鶏肉は、穏やかな火入れと中心温度の確認をセットに

丸鶏を激しく煮立て続けず、湯面が静かに動く火加減で加熱します。火を弱める目的は食感とスープの状態を整えること。安全の確認は別に必要なので、胸とももの厚い部分を中心温度計で測ります。
2|ごはんは、鶏油と香味野菜で下地を作る

今回のごはんは、鶏スープだけで米を炊く作り方から、もう一段工程を重ねます。鶏油にしょうが・にんにく・エシャロットの香りを移し、ジャスミンライスにも油を薄くまとわせてから炊きます。
目指すのは、米粒がつぶれず、鶏油と香味野菜の香りがあるごはん。鶏油を多くすればよいのではなく、米の吸水とスープ量も合わせて整えることが大切です。
3|タレは、塩味・甘味・酸味・辛味を重ねる

タオチオとしょうゆ類に、酢、パームシュガー、しょうが、唐辛子を合わせます。タレだけをたくさん口に入れて判断せず、鶏肉とごはんへ少量付け、組み合わせたときの濃さを確かめましょう。
4|冬瓜スープまで含めて一皿を仕上げる

ゆで汁は、ごはんのうまみと添えスープの両方を担います。ごはんとタレの合間に、冬瓜入りのスープを飲めるよう、最後に塩味を確認して仕上げます。
下準備
丸鶏全体が浸かり、吹きこぼれを避けられる大きな鍋、食品用中心温度計、フライパン、ざる、こし器、計量器、ミキサーまたはフードプロセッサー、清潔な冷却容器と浅い保存容器を用意します。鍋の湯温を測るときも、温度計の使用条件を確認してください。
炊飯器は、油・調味料・香味野菜を加えた炊飯と、今回の米量に対応する機種を使います。最大量、使えるコース、スープの投入温度、蒸らし方は取扱説明書を確認してください。パンダンリーフが蒸気口などをふさがないことも確認します。
- 冷凍の丸鶏を使う場合は、あらかじめ冷蔵庫で中まで解凍する。解凍時間は「約2時間」の調理目安に含めない。
- 先に野菜・香味材料を洗って切る。きゅうりは薄切りにし、添え物用パクチーとともに清潔な容器で冷蔵する。パクチーの根はよく洗って軽くつぶし、パンダンリーフは洗って結ぶ。
- しょうがをスープ用・ごはん用・タレ用に分けて切る。エシャロットは薄切り、にんにくは粗く刻む。タレ用の唐辛子と漬けにんにくを切り、固いパームシュガーは細かくする。
- 冬瓜は皮・種・ワタを除いて500〜600gを量り、3〜4cm程度に切る。
- 丸鶏は流水で洗わない。腹腔に内臓などが入っていれば取り除き、余分な脂・皮を鶏油用に取り分け、使うまで清潔な容器で冷蔵する。表面の水分やドリップはキッチンペーパーで拭き、使用した紙はすぐに捨てる。
- 生鶏を扱った後は手を洗い、包丁・まな板・作業台などを洗浄・消毒する。ゆでた鶏や添え野菜を、生鶏やそのドリップに触れさせない。
- ジャスミンライスは炒める時刻に合わせて2回ほどやさしく洗い、ざるに上げて約20分水を切る。長時間浸水せず、洗ってから長く放置しない。
- 各用途の調味料を計量する。氷水は鶏を冷やす直前に、飲用できる水と氷を使って清潔な容器に用意する。
作り方
STEP1鶏用のスープを作る

鶏は中まで解凍したものを使います。添え野菜や香味材料を先に洗って切り、添え物は冷蔵します。丸鶏は洗わず、内臓が入っていれば取り除き、余分な脂・皮を鶏油用に分けて使うまで冷蔵し、ドリップを紙で拭きます。生鶏を扱った後は手と器具・台を洗浄し、器具・台は消毒して、調理済みの食品と分けて扱います。
大きな鍋に水3.0〜3.5Lを目安に入れ、スープ用のしょうが20g、パクチーの根10g、パンダンリーフ10〜15g、塩18g、氷砂糖15g、シーユーカオ15gを加えます。
一度沸騰させて香味材料を温め、丸鶏を入れる前に火を弱めます。鶏を入れたときに全体が浸かり、湯があふれない深さと余裕を確保してください。
STEP2丸鶏を穏やかに火入れする

丸鶏を静かに入れ、全体をスープに浸します。必要な場合は湯を補いますが、水量を増やした分の調味料を推測で足さず、最終的にスープの味を確認してください。
温度が戻ったら、表面が静かに動く弱火〜弱めの中火へ調整します。スープはおおむね85〜90℃前後を目安に、激しく沸騰させ続けないようにします。1.4〜1.6kgの丸鶏で35〜45分程度は参考時間であり、加熱終了の保証ではありません。
食品用中心温度計を、骨を避けて胸肉ともも肉の最も厚い部分へ差し、両方の中心が75℃以上で1分以上となることを確認します。達していなければ加熱を続け、測り直してください。温度計は機器の説明に従って扱い、測定前後に清潔にします。
STEP3氷水へ移し、水気を切る

十分な加熱を確認した鶏を、清潔な器具で取り出します。飲用できる水と氷で作った清潔な氷水へ3〜5分程度移し、余熱の入り方と皮の状態を整えます。取り出したら清潔な場所で水気を切ってください。
この短い氷水の工程は、鶏の中心まで冷えることを保証するものではありません。続く炊飯などの間に室温で置き続けず、清潔な器具で胸・ももなど大きな部位に分けて浅い容器へ移し、容器の底を氷水に当てるなどして速やかに冷却・冷蔵します。食べやすい薄切りにするのはSTEP 9です。
STEP4鶏脂から鶏油を作る

取り分けた脂・皮80〜100g程度を冷たいフライパンへ入れ、弱火でじっくり加熱します。焦げないように様子を見ながら、透明〜薄い黄金色の油を溶かし出してください。
油が取れたら、熱に対応するこし器と容器でこします。熱い油でやけどをしないよう扱い、ごはん用に45mLを計量します。足りなければ鶏皮を追加して油を取り、最初から植物油へ置き換えないようにします。
STEP5鶏油で香味野菜と米を炒める

ジャスミンライス400gは、炒める時刻に合わせて2回ほどやさしく洗い、約20分ざるで水を切っておきます。長時間浸水はしません。
フライパンに鶏油45mL、ごはん用のしょうが30g、エシャロット30g、にんにく合計35gを入れ、弱めの中火で炒めます。
にんにくが焦げる前に、約20分水を切ったジャスミンライス400gを加えます。米を押しつぶさないよう混ぜ、2〜3分程度炒めて、一粒ずつに鶏油の艶をまとわせます。
STEP6鶏スープでジャスミンライスを炊く

鶏を取り出した基本スープをこし、米用の650mLを先に取り分けます。冬瓜スープ用の約1.2〜1.5Lは別鍋へ分けておきます。
炒めた米と香味野菜を、油・調味料入りの炊飯と今回の分量に対応する炊飯器へ移し、鶏スープ650mL、結んだパンダンリーフ1枚を加えます。パンダンリーフで蒸気口をふさがないようにします。スープは温かい状態を想定していますが、温かい液体を使えない機種では取扱説明書が指定する温度まで冷ましてください。量と温度を確認したらすぐに、機種に適した通常炊飯のコースで炊きます。
炊き上がったら、機種の蒸らし仕様に従って約10分を目安に落ち着かせ、パンダンリーフを取り除きます。底から大きく返し、米粒をつぶさないようにほぐしてください。
STEP7タイ式タオチオだれを作る

米を炊いている間にタレを作ります。しょうが・唐辛子・漬けにんにくは切り、固いパームシュガーは細かくしておきます。タオチオ55g、シーユーカオ40g、シーユーダムワーン20g、酢20g、パームシュガー32g、しょうが35g、赤唐辛子6〜8g、漬けにんにく15g、漬け汁15gをミキサーなどで混ぜます。辛さを控える場合は、唐辛子を減らすか、加える前にタレを取り分けてください。
完全な液体にする必要はなく、しょうがや豆の細かな粒が少し残る程度でも構いません。砂糖が溶けにくければ、ごく弱火で短時間温めて混ぜ、その後は清潔な容器で速やかに冷まします。
仕上げに、別に用意したしょうがと生唐辛子のみじん切りを好みで加えます。作ったタレは覆って冷蔵し、食べるときに使う分を取り分けます。
STEP8冬瓜入り鶏スープを仕上げる

STEP 6で取り分けたスープ約1.2〜1.5Lを温め、皮・種・ワタを除いて切った冬瓜500〜600gを加えます。弱めの中火で15〜20分を目安に、冬瓜がやわらかくなるまで煮てください。
最後にスープを味見し、必要な場合だけ塩またはシーユーカオを少量加えます。白こしょうを少量加え、器によそってパクチーを添えます。
STEP9皮付きの鶏肉を切る

冷蔵していた鶏を盛り付ける直前に取り出し、表面の水気を清潔なペーパーで拭きます。生鶏用とは分けた、清潔なまな板と包丁を使ってください。
STEP 3で分けた胸肉・もも肉に骨が残っていれば外し、皮を付けたまま8〜12mm程度の食べやすい厚さに切ります。押しつぶして薄くせず、皮と肉をごはんと一緒に食べられる厚さを意識しましょう。
STEP10ごはん・鶏・タレ・スープを盛り付ける

1人分の目安として、炊き上がった鶏油ごはん約180〜200g、切った鶏肉約100〜120gを器へ盛ります。これは盛り付けの目安で、炊飯後や骨を外した後の総量は実調理で確認が必要です。全体を見ながら4〜5人分へ取り分けてください。
きゅうりを数枚とパクチーを添え、タオチオだれを別の小皿に入れます。冬瓜入り鶏スープを1人1杯添え、できあがったら長く置かずに食べましょう。
おいしく作る重要ポイント
鶏の温度と、ごはんの水分を別々に確認する
鶏は「何分ゆでたか」より中心温度、ごはんは「何mL入れたか」に加えて米の状態と炊飯条件を確認します。見た目のしっとり感と安全な火入れは、同じ指標ではありません。
鶏油は量り、香味野菜は焦がさない
米400gに鶏油45mLを基準にし、油が多く取れても全部入れません。にんにくが黒くなる前に米を合わせ、焦げた香りを付けないよう火加減を調整します。
タレは別添えにし、食べる人ごとに調整する
鶏とごはんにタレを全量かけず、小皿から少しずつ使います。辛さを抑えたい人の分は唐辛子を加える前に分け、しょうがや唐辛子の追加は各自の器で行うと調整しやすくなります。
失敗しやすいポイント
鶏肉が硬くなる
激しく沸騰させ続けたり、必要以上に長く加熱したりしていないかを確認します。スープは穏やかな状態に保ち、中心温度で加熱完了を確認してください。やわらかく見せるために加熱不足で止める方法にはしません。
鶏の中心まで火が通っていない

時間だけで判断せず、胸とももの厚い部分が中心75℃以上で1分以上になっているかを確認します。未達なら加熱を続けます。氷水に移すのは、その確認が済んでからです。
ごはんがべちゃっとする・硬い
水分が多い例

目指す粒感

※炊き上がりの違いを示す生成イメージです。今回の配合で比較試作した写真ではありません。
米の種類、新米か古米か、洗ってからの吸水、水切り、液体量、炊飯器の条件を順に確認します。今回は古米タイプのジャスミンライス400g、約20分の水切り、スープ650mLを試作開始条件としています。長時間浸水した米へ同量を足すなど、条件を重ねて変えないようにしましょう。
ごはんが脂っこい

取れた油を全量入れていないか確認します。ごはん用は45mLを量り、鶏の表面へ塗る分とは分けます。油を増やすだけで本格的な味になるわけではありません。
にんにくが苦い
油を強く熱しすぎると、にんにくが焦げて苦みにつながります。弱めの中火で香りを移し、黒く焦がした場合はそのまま米へ混ぜず、香味野菜と油を作り直します。
タレがしょっぱすぎる
タオチオやしょうゆ類を追加する前に、鶏肉とごはんへ少量付けて濃さを見ます。強い場合は一度小皿へ取り分け、使う量を減らすことから調整しましょう。
酸味が足りなければ酢、甘みが足りなければ砂糖を少量ずつ加える選択肢があります。少量のスープで濃さを緩める場合も、そのスープ自体に塩味がある点に注意します。酢や甘みを足しても塩分は消えず、水で薄めてから完全に煮詰めても塩の総量は減りません。
タイ現地の作り方にも違いがある
- 鶏の加熱後
- 氷水へ移す方法も、そのまま休ませる方法もある。今回は加熱確認後の氷水を採用する。
- ごはんの香味野菜
- エシャロットを使う配合と、使わない配合がある。今回はしょうが・にんにくと合わせる。
- ごはんの香りの付け方
- 鶏油で香味野菜と米を炒める方法や、鶏油で作った揚げにんにくを米へ加える方法がある。今回は鶏脂から取った鶏油で米を炒める。
- タレの漬けにんにく
- 漬けにんにくと漬け汁を入れるものも、入れないものもある。今回は両方を使うタイプ。
- 添えスープ
- 冬瓜だけでなく大根を使う例もある。今回は冬瓜で仕上げる。
同じカオマンガイでも、鶏・ごはん・タレ・スープの組み合わせは一つではありません。このレシピは、その中から丸鶏、鶏油ごはん、漬けにんにく入りタオチオだれ、冬瓜スープという構成を選んだ本格版です。
余った鶏・スープ・タレの扱い
鶏肉は、食べる分だけ切り分ける
残す分は清潔な器具で取り分け、タレや添え野菜と分けて扱います。食卓に出した分と、まだ取り分けていない分を混ぜ戻さないようにしてください。
スープは、必要量を取り分けて使う
米用650mLと冬瓜スープ用約1.2〜1.5Lを取った後のスープも、長時間鍋に置いたままにしません。別の汁物やおかゆに使う場合は、含まれる塩味を確認し、追加調味料を控えめに始めます。
タレは、食べる用の器と保存用を分ける
食卓の小皿に残ったタレを、保存容器へ戻さないでください。保存する分は最初に清潔な容器へ分け、使うたびに清潔なスプーンで取り出します。
保存と再加熱
それぞれ分け、速やかに冷却・冷蔵する

鶏肉、ごはん、スープ、タレは、それぞれ清潔な容器で扱います。大量のスープやごはんは浅い容器へ小分けし、速やかに冷まして冷蔵してください。丸鶏のまま、大鍋のまま、室温で長く放置しないことが大切です。
温め直すときは中心まで十分に加熱する
保存した鶏肉やごはんを温め直すときは、表面だけで判断せず、中心まで十分に加熱します。鶏肉は中心75℃以上で1分以上を目安に確認し、スープも全体を混ぜながらしっかり温めてください。電子レンジでは加熱むらにも注意します。
保存期間を日数だけで判断しない
このレシピでは保存試験をしていないため、「冷蔵で何日」「冷凍で何週間」という安全や品質の保証は設けていません。市販調味料は表示された保存方法に従い、料理は早めに食べ切ってください。品質に疑いがあるものを、再加熱すれば安全に戻せるとは考えないようにしましょう。
よくある質問
丸鶏ではなく鶏もも肉でも作れますか?
カオマンガイを作ることはできますが、取れるスープや脂の量、加熱条件が変わるため、この丸鶏1.4〜1.6kgの配合をそのまま置き換える方法にはしません。鶏もも肉を使う簡単版は、別のレシピとして組み立てる必要があります。
なぜ鶏肉を強く沸騰させないのですか?
肉の食感とスープの状態を整えやすくするためです。ただし弱火なら加熱不足でもよいという意味ではありません。スープの温度だけでなく、胸とももの中心75℃以上で1分以上を確認します。
氷水に入れないと作れませんか?
氷水は、カオマンガイに必ず必要な工程ではありません。タイにも使う方法と使わない方法があります。今回は加熱後の皮と余熱の管理を目的に3〜5分程度移す方法を採用していますが、この時間で中心まで冷える保証はないため、その後の冷却・冷蔵も行います。
タオチオとは何ですか?
タイの発酵大豆調味料で、今回のタレの中心になる材料です。日本のみそとは同じものとして扱わず、タオチオにシーユーカオ、シーユーダムワーン、酢、パームシュガーなどを合わせます。
普通のお米でも作れますか?
ごはんを炊くことはできますが、日本米とジャスミンライスでは香り・吸水・食感が異なります。今回の米400gとスープ650mLをそのまま流用せず、米の種類と炊飯器に合わせた確認が必要です。
鶏油は植物油で代用できますか?
調理自体はできますが、鶏油の香りとコクが変わります。今回の本格版は、鶏脂・鶏皮から取った油45mLを使う構成にしており、植物油へ置き換えた簡単版とは分けて考えます。
タレは辛くしないこともできますか?
できます。基本の唐辛子6〜8gを減らすか省き、辛くしない人のタレを先に取り分けてから、残りへ唐辛子を加えます。仕上げ用の生唐辛子も別添えにしてください。

