カノムファックブア(ขนมฝักบัว)は、米粉を使った生地を丸く揚げるタイのお菓子です。中央はぽっこりと厚く、縁は薄く広がる形が目印。ひと口食べると、縁の香ばしい歯触りと、中心のやわらかな生地の違いを楽しめます。ココナッツミルクや砂糖の甘みがあり、パンダンの葉で緑色に仕上げるものもあります。市場で見かけたら、まずは揚げたてを一枚。味や食べ方、屋台での頼み方と、名前にまつわる豆知識を紹介します。
カノムファックブアの基本情報

| 料理名/タイ語名 | カノムファックブア/ขนมฝักบัว |
| 英語名 | Khanom Fak Bua / Thai Fried Rice-Flour Cake |
| 食べられる場所 | 市場や定期市のタイ菓子屋台、昔ながらのおやつ売り場、地域の催し |
| 意味 | カノム=お菓子、ファックブア=蓮の種が収まる部分(花托) |
| 特徴 | 中央がふくらみ、薄い縁が広がる丸い揚げ菓子 |
| 使われる食材 | 米粉、砂糖、水やココナッツミルク、油など。もち米粉、小麦粉、卵、パンダンを加える配合もある |
| 甘さ | ★★★★☆(目安。砂糖の配合によって異なる) |
カノムファックブアとはどんなスイーツ?

中央のふくらみと、薄く広がった縁が目印
カノムファックブアは、丸い円盤の中央がふっくら盛り上がった揚げ菓子です。縁は薄く、少し反り返るように広がります。穴の開いたドーナツや、平らなホットケーキとは形が違います。
生地の中に餡を包むお菓子ではなく、ふくらんだ部分も同じ生地です。割ると中心には細かな空洞や筋が見え、縁との厚みの違いがよく分かります。
米粉を基本に、ココナッツミルクや砂糖を合わせる
主な材料は米粉、砂糖、水やココナッツミルクです。もち米粉や小麦粉を合わせるレシピもあり、配合によって中心のやわらかさや縁の歯触りが変わります。パンダンの葉の汁を加えると、香りのある緑色の生地になります。
卵やつぶしたバナナを加える作り方もあります。米粉のお菓子でも、小麦や卵を使わないとは限りません。食べられない材料がある場合は、買う前に店で確認してください。
小さな深い鍋に生地を落とし、一枚ずつ揚げる
生地は手で丸めるのではなく、とろみのある状態で油へ流し入れます。小さく深さのある鍋で一枚ずつ揚げ、油を表面にかけながら中央まで火を通します。揚がるにつれて、中心がふくらみ、周囲に薄い縁ができます。
店頭では、生地をすくうお玉と小鍋が目印になります。焼き型を並べた鉄板ではなく、油の中で丸い生地がふくらんでいるかを見てみましょう。
カノムファックブアはどんな味?

砂糖の甘みと、ココナッツミルクのまろやかさ
甘さは生地そのものに付いています。ココナッツミルク入りなら、砂糖の甘みにまろやかなコクが重なり、揚げた表面からは香ばしさも感じられます。塩を少量加え、甘さを引き締める作り方もあります。
辛さや酸味が中心のお菓子ではありません。砂糖の種類や量は店で違い、同じ名前でも甘さは一定ではありませんが、まずは甘い揚げ菓子を想像すると近いでしょう。
縁はカリッと、中央はやわらかく、少しもっちり
いちばんの特徴は、一枚で薄い縁と厚い中心の二つの食感を楽しめることです。揚げたての縁はカリッとして、中央はふんわりとやわらかく、粉の配合によってはもっちりした弾力もあります。
日本の食べ物でたとえるなら、甘い生地を揚げたパンケーキを思い浮かべると分かりやすいでしょう。中心には米粉らしいやわらかさや、もちっとした食感もあります。
緑色のものは、パンダンの香りにも注目
緑色のタイプでよく使われるのが、タイ語で「ใบเตย(バイトゥーイ)」と呼ぶパンダンの葉です。生地に葉の汁を混ぜることで、甘い香りと色を付けます。初めて見ると抹茶のお菓子のようにも見えますが、パンダン入りなら、その葉の香りを楽しむタイプです。
パンダンを使わない配合や、揚げ色が強い茶色のものもあります。色だけで味を決めず、香りを知りたいときは「ใบเตย」の表記があるかを見ると手がかりになります。
カノムファックブアはどこで食べられる?

市場のタイ菓子屋台や、昔ながらのおやつ売り場へ
探すなら、ローカル市場や定期市のタイ菓子売り場が候補です。昔ながらのお菓子を集めた市や地域の催しで見かけることもあります。飲食店のデザート欄より、その場で揚げているおやつの屋台を探すほうが分かりやすいでしょう。
どの市場にも必ずあるお菓子ではありません。バンコクなどの都市でも、一般的なフードコートや観光客向けレストランにあるとは限らないので、店を探すときはタイ語の「ขนมฝักบัว」を使ってみてください。
初めてなら、揚がったばかりのものを少量から
縁のカリッとした食感を試したいなら、揚げたてを選びましょう。油から上げて少し落ち着いたところが食べやすいタイミングです。中心は厚く熱が残るため、すぐにかぶりつかず、少し割ってから食べると安心です。
持ち帰ることもできますが、時間がたつと縁がしんなりして、油の重さも感じやすくなります。揚げたての軽い縁を楽しむなら、買ってから長く持ち歩くより、近くで食べるのがおすすめです。
指さしで個数を伝え、セット販売かも確かめる
一枚から買える店なら、「ขนมฝักบัว 1 ชิ้น」の表記を見せて頼めます。「ชิ้น」は一個・一切れなどを数える言葉です。袋やセット単位の販売もあるので、表示価格が一枚分か一袋分かを確かめてから注文しましょう。
甘みはあらかじめ生地に混ぜてあるため、飲み物のように注文のたびに砂糖を減らすのは難しいお菓子です。甘さが気になるときは、まず少量を買ってみると選びやすくなります。
蓮の実は入っている?名前と南部の呼び名を知る

「ファックブア」は、蓮の種が収まる部分のこと
カノムはお菓子、ファックブアは蓮の花が散ったあとに残る、種が収まる部分「花托(かたく)」を指します。名前はその形にちなんだもので、蓮の実入りのお菓子という意味ではありません。中央が盛り上がる姿を見てから名前を知ると、覚えやすくなります。
「ขนมดอกบัว(カノムドークブア)」と呼ばれることもあります。「ドークブア」は蓮の花のこと。店によって別の名前が書かれていても、丸い形と盛り上がった中心を目印にできます。
南部では「チューチュン」などの名前でも親しまれる
タイ南部には「ขนมจู้จุน」や「จูจุ่น」といった呼び名があります。日本語にするとチューチュンに近い響きで、地域によって呼び方や表記に違いがあります。カノムファックブアを知っていても、看板の名前だけでは気付かないかもしれません。
南部のナコーンシータンマラートでは、地域の行事や功徳を積む仏教行事で作られる例もあります。街歩きのおやつであると同時に、土地の行事とも結び付いたお菓子です。
花の形のカノムドークジョークとは別のお菓子
花のような形の揚げ菓子には、カノムドークジョークもあります。こちらは花形の型で薄い生地を揚げる、全体がサクサクしたお菓子です。中央が厚くやわらかなカノムファックブアとは、作り方も食感も違います。
また、ココナッツミルクを使うカノムクロックは、丸いくぼみのある鉄板で焼くお菓子です。名前や材料が似ていても、「小鍋で揚げる」「花形の型で揚げる」「鉄板で焼く」を見分けると、市場でも選びやすくなります。

