バクテーは、豚スペアリブや豚肉をにんにく、胡椒、漢方系スパイスと一緒に煮込む中華系のスープ料理です。マレーシアやシンガポールで有名ですが、タイ南部や中華系の食堂でも親しまれ、朝食や滋養のある一品として食べられています。
バクテーの基本情報

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料理名/タイ語名 | バクテー / บักกุ๊ดเต๋ |
| 英語名 | Bak Kut Teh / Pork Rib Herbal Soup |
| 食べれる場所 | タイ南部の中華系食堂、バクテー専門店、朝食店、ローカル食堂、マレーシア・シンガポール系料理店 |
| 意味 | バク=肉、クッ=骨、テー=茶 ※福建語・潮州語系の発音に由来するとされる |
| 特徴 | 豚スペアリブや豚肉を、にんにく・胡椒・漢方系スパイスで煮込む滋養感のあるスープ料理 |
| 使われる食材 | 豚スペアリブ、豚肉、にんにく、白胡椒、八角、シナモン、クローブ、漢方系スパイス、醤油、きのこ、湯葉、油条など |
| 辛さ | ★☆☆☆☆ |
バクテーとはどんな料理?

豚肉を薬膳系スープで煮込む中華系料理
バクテーは、豚スペアリブや豚肉を、にんにく、胡椒、漢方系スパイス、醤油などと一緒に煮込む中華系のスープ料理です。漢字では「肉骨茶」と書かれることが多く、名前の通り、骨付き肉を煮込んだ滋養感のある一品として知られています。
タイ料理というより、マレーシアやシンガポールで有名な料理ですが、タイ南部や中華系住民の多い地域では食堂料理として親しまれています。タイで食べるバクテーは、南部の中華系食文化を感じられる料理といえます。
タイ南部や中華系食堂で親しまれる
バクテーは、タイ全土の屋台でどこでも見かける料理ではありません。タイでは特に南部、マレーシア国境に近い地域、中華系の食堂、朝食店などで出会いやすい料理です。
プーケット、ハジャイ、トラン、ソンクラー周辺のように、中華系食文化が強い地域では、朝から温かいスープとして食べられることもあります。ガパオやトムヤムのような有名タイ料理とは違い、地域色の強いローカル料理として覚えると分かりやすいです。
にんにく・胡椒・漢方スパイスで香りを作る
バクテーの味を決めるのは、豚肉だけではありません。たっぷりのにんにく、白胡椒、八角、シナモン、クローブ、甘草、当帰などの漢方系スパイスを使い、じっくり煮込むことで独特の香りを作ります。
店によって、胡椒を強く効かせたすっきり系、漢方の香りが濃い薬膳系、醤油の色が濃いコク深いタイプなどがあります。同じバクテーでも、スパイスの配合によって味の印象が大きく変わるのが面白いところです。
油条やご飯と一緒に食べることが多い
バクテーは、スープだけで完結する料理ではなく、ご飯や油条と一緒に食べることが多いです。油条は中国系の揚げパンのようなもので、スープに浸すとにんにくや胡椒、豚肉の旨味を吸っておいしくなります。
豚肉は骨付きで煮込まれることが多く、箸でほぐれるほど柔らかくなる店もあります。スープを飲みながら肉を食べ、ご飯や油条で旨味を受け止める食べ方が定番です。バクテーは、肉・スープ・ご飯を一緒に楽しむ滋養系の朝食料理としても親しまれています。
バクテーはどんな味?
豚骨の旨味とにんにくの香りが土台になる
バクテーは、骨付きの豚肉をじっくり煮込むため、スープには豚骨や肉の旨味がしっかり出ます。日本の豚骨ラーメンのように白く濁った濃厚スープというより、澄んだスープや醤油色のスープに、豚肉の旨味が溶け込んでいるイメージです。
そこに、にんにくを丸ごと入れることも多く、スープ全体ににんにくの甘い香りが広がります。豚肉のコクと、煮込まれて丸くなったにんにくの香りが、バクテーらしい味の土台です。
胡椒系はピリッとすっきりした味
胡椒を強く効かせるタイプのバクテーは、飲んだ瞬間に白胡椒のピリッとした刺激を感じます。唐辛子の辛さとは違い、喉や鼻にふわっと抜けるような辛味で、後味は比較的すっきりしています。
このタイプは脂っこさが少なく、朝食としても食べやすい味です。豚肉の旨味はありながら、胡椒の香りが全体を引き締めてくれます。唐辛子ではなく胡椒で体が温まるような味が、バクテーの特徴のひとつです。
薬膳系は漢方スパイスの香りが深い
漢方系スパイスがしっかり入るバクテーは、八角、シナモン、クローブ、甘草などの香りが重なり、薬膳スープのような深みがあります。最初は少しクセを感じる人もいますが、慣れると豚肉の旨味とよく合います。
スパイスの香りは強いものの、辛い料理ではありません。むしろ、体に染みるような温かい味わいで、脂のある豚肉を重く感じさせにくくします。漢方スパイスの香りが、豚肉の脂と旨味をすっきりまとめるのが薬膳系バクテーのおいしさです。
油条やご飯を合わせると味が完成する
バクテーは、スープだけで飲んでもおいしいですが、油条やご飯と一緒に食べるとより満足感が出ます。油条をスープに浸すと、外側の香ばしさとスープの旨味が合わさり、少し柔らかくなった食感も楽しめます。
ご飯と一緒に食べる場合は、豚肉をほぐし、スープを少しかけると食べやすくなります。濃いめのスープの店では、白ご飯が味を受け止めてくれるため、最後まで飽きずに食べられます。バクテーは、スープを“飲む”だけでなく、ご飯や油条に吸わせて味わう料理です。
バクテーはどこで食べることができる?

タイ南部の中華系食堂で見つけやすい
バクテーは、バンコクの一般的なタイ料理屋台でよく見かける料理ではありません。タイで探すなら、まずは南部の中華系食堂やローカル朝食店をチェックするのがおすすめです。特にプーケット、ハジャイ、トラン、ソンクラー周辺のように、中華系・マレー系の食文化が混ざる地域では出会いやすくなります。
店先に大きな鍋があり、骨付き豚肉をスープで煮込んでいる店や、朝からご飯もの・点心・油条を出している食堂なら可能性があります。タイでは「南部の中華系ローカル料理」として探すと見つけやすいでしょう。
バンコクなら専門店やマレーシア系の店を探す
バンコクでもバクテーを食べられる店はありますが、ガパオやカオマンガイのようにどこにでもあるわけではありません。探すなら、バクテー専門店、マレーシア・シンガポール系料理店、中華系の食堂、ショッピングモール内の専門レストランなどが候補になります。
メニューでは「Bak Kut Teh」「Pork Rib Herbal Soup」「บักกุ๊ดเต๋」などと書かれることがあります。観光中に確実に食べたい場合は、事前にGoogleマップで「Bak Kut Teh」と検索しておくのが現実的です。
注文するときはタイ語か英語表記を見せると安心
バクテーはタイ料理として全国的に有名な料理ではないため、ローカル店では発音だけで伝えるより、表記を見せた方が確実です。タイ語では「บักกุ๊ดเต๋」、英語では「Bak Kut Teh」と書かれることが多いです。
- บักกุ๊ดเต๋ มีไหม
バクテー ミーマイ
バクテーはありますか? - เอาบักกุ๊ดเต๋หนึ่งถ้วย
アオ バクテー ヌン トゥアイ
バクテーを1杯ください - กินกับข้าวได้ไหม
ギン ガップ カーオ ダイマイ
ご飯と一緒に食べられますか? - มีปาท่องโก๋ไหม
ミー パートンコー マイ
油条はありますか?
油条はタイでは「パートンコー」と呼ばれることが多く、バクテーのスープに浸して食べるとよく合います。バクテーを頼むときは、ご飯か油条を一緒に注文すると満足度が上がります。
初めてなら朝食や昼食で食べるのがおすすめ
バクテーは、夜のごちそうというより、朝食や昼食で食べるとしっくりくる料理です。温かいスープに豚肉の旨味、にんにく、胡椒、漢方スパイスの香りが入っているため、朝から体が温まるような感覚があります。
初めて食べるなら、胡椒が強すぎないタイプや、醤油ベースで色が濃すぎないものを選ぶと食べやすいです。漢方の香りが苦手な人は、最初から薬膳感の強い店より、にんにくと胡椒が中心のすっきりしたタイプがおすすめです。辛いタイ料理が苦手な人でも食べやすい、やさしいスープ料理として試しやすいでしょう。
バクテーは“茶”が入っていないのに、なぜ「肉骨茶」なのか?
名前に「茶」があるけれど、スープに茶葉は入らない
バクテーは漢字で「肉骨茶」と書かれることがありますが、基本的にスープの中に茶葉を入れて煮込む料理ではありません。名前だけを見ると「肉と骨とお茶のスープ」のように感じますが、実際は豚肉と骨を、にんにくや胡椒、漢方系スパイスで煮込む料理です。
では、なぜ「茶」という字が入るのか。よく語られる理由のひとつは、脂のある豚肉料理を食べるときに、中国茶を一緒に飲んで口の中をさっぱりさせていたから、という説です。バクテーの「茶」は、スープの材料というより食べ方の文化に関わる言葉として理解すると分かりやすいです。
港町の労働者を支えた滋養食として広まった
バクテーは、マレーシアやシンガポールの港町で働く中国系移民の食文化と深く関わる料理として知られています。体力を使う仕事の前に、骨付き豚肉を煮込んだ温かいスープを食べることで、力をつける朝食のように親しまれてきました。
タイ南部でバクテーが見られるのも、マレーシアや中華系の食文化とつながりがあるからです。タイ料理として見ると少し異色ですが、南部の食文化を知るうえではとても面白い存在です。バクテーは、国境を越えて広がった中華系ローカル料理といえます。
地域によって「胡椒系」と「薬膳系」がある
バクテーは一つの決まった味だけではありません。シンガポール系では白胡椒を強く効かせた透明感のあるスープが有名で、マレーシア系では漢方スパイスや醤油を使った濃いめのスープもよく知られています。
タイで食べるバクテーも、店によってこのどちらかに近かったり、両方を混ぜたような味だったりします。同じバクテーでも、胡椒で攻める店と、漢方の香りで深みを出す店があるため、食べ比べるとかなり印象が変わります。
タイ料理の中にある“中華系の顔”が見える一杯
タイ料理というと、唐辛子、ライム、ナンプラー、ハーブのイメージが強いかもしれません。しかしタイには中華系の食文化も深く根づいていて、クイッティアオ、カオマンガイ、パートンコーなど、多くの料理にその影響が見られます。
バクテーもその流れの中で楽しめる料理です。タイらしい辛酸っぱい味ではありませんが、タイ南部や中華系食堂で食べると、その土地の歴史や人の移動まで感じられます。バクテーを知ると、タイ料理が一枚岩ではなく、地域と民族文化が重なってできていることが分かります。

