ロートチョン(ลอดช่อง)は、麺のような形のお菓子を、甘いココナッツミルクと氷で食べるタイのスイーツです。定番のタイ式は米粉が主な材料で、パンダンの葉で緑色と香りを付けます。抹茶味ではありません。つるっとした口当たりと、ココナッツのまろやかな味が特徴です。市場の甘味屋台で探すときは、短くふっくらした「タイ式」と、細長く弾力のある「シンガポール式」の違いを知っておくと注文に役立ちます。味や食べ方とあわせて、その見分け方も紹介します。
ロートチョンの基本情報

| 料理名/タイ語名 | ロートチョン/ลอดช่อง(タイ式はลอดช่องไทย) |
|---|---|
| 英語名 | Lot Chong / Lod Chong / Thai Pandan Noodles in Coconut Milk |
| 食べられる場所 | 市場の甘味屋台、タイ菓子店、フードコートのデザート売り場、一部の食堂やタイ料理店 |
| 意味 | ロート=くぐる・通り抜ける、チョン=穴・すき間 |
| 特徴 | 短い生地を甘いココナッツミルクと味わう冷たいお菓子 |
| 使われる食材 | 米粉、パンダンの葉、ココナッツミルク、パームシュガーなどの砂糖、氷(一般的なタイ式。ほかに食用石灰水や塩、でんぷん類) |
| 甘さ | ★★★★☆(目安。砂糖やシロップの量、配合で変わる) |
ロートチョンとは?緑色の麺のようなお菓子

緑の短い生地をココナッツミルクで食べる
タイ式のロートチョンは、短くて少しふっくらした形が目印です。白から薄茶色の甘いココナッツミルクに浮かべ、氷と一緒に食べます。「ロートチョン」は、この緑色の生地そのものを指す言葉でもあります。
器は小さなボウルやカップなど、店によってさまざまです。麺のようにすすり上げる必要はなく、添えられたスプーンでココナッツミルクごとすくって食べます。
緑色はパンダンの葉から。抹茶味ではない
パンダンは、東南アジアでお菓子の色や香り付けに使われる葉です。タイ語ではバイトゥーイ(ใบเตย)。葉から搾った汁を米粉などに混ぜると、緑色と甘い香りが付きます。
米粉にタピオカでんぷんなどを混ぜる配合もあり、粉の割合で柔らかさや弾力が変わります。食用石灰水のナムプーンサイも、形や食感を整えるために使われます。同じタイ式でも、店によってかみ心地が少し違うのは、こうした配合の差もあるためです。
名前の「穴を通る」は生地の作り方につながる
生地は粉を溶いて火にかけ、粘りが出るまで練ってから、穴の開いた道具で押し出します。落ちた先の冷水で形を整えると、短いロートチョンになります。麺のように細長く切りそろえる作り方ではありません。
ロートは「通り抜ける」、チョンは「穴・すき間」という意味です。シリントーン人類学センターの資料には、ココナッツの殻に穴を開けた成形道具も記録されています。身近な材料で作った道具から、あの短い形が生まれていました。
ロートチョンはどんな味?

パームシュガーの甘みとココナッツのコク
味の中心は、ココナッツミルクと砂糖です。パームシュガーを使うものなら、甘みに加えて香ばしさも感じられます。塩を少し加える配合では、甘さの中にほのかな塩気があります。
ひと口目は、緑のロートチョンとココナッツミルクを一緒にすくいます。甘い汁が表面に絡み、かむと粉のお菓子らしい柔らかさを感じます。氷で冷やしていても、ココナッツのコクはしっかり残ります。
タイ式はつるっと柔らかく、軽い弾力がある
タイ式は、つるっとした表面と柔らかな歯応えが特徴です。粉の配合によって少しもちっとするものもあれば、歯切れのよいものもあります。強い弾力を求めるなら、後で紹介するシンガポール式も候補になります。
氷が上にのっているときは、軽く混ぜてから食べましょう。時間がたつと氷が溶けて汁が薄まるので、受け取ってすぐのほうが、ロートチョンとココナッツミルクを冷たいまま味わえます。
辛さはなく、好みが分かれるのは香りと甘さ
一般的なロートチョンに唐辛子は使いません。味は甘く、パンダンの葉とココナッツの香りが中心です。辛い食事の後に冷たいものが欲しいときにも合います。
甘さ控えめを希望するときは「หวานน้อย(ワーンノーイ)」と伝えます。ただし、甘いココナッツミルクを作り置きしている店では調整できないこともあります。シロップを別に注ぐ店なら、入れる前に伝えるとよいでしょう。
ロートチョンはどこで食べられる?

市場や甘味売り場で緑の生地を探す
探すなら、市場のタイ菓子店やココナッツミルクを使う冷たい甘味の屋台が候補です。緑の生地と、甘いココナッツミルク、氷が別々に用意されている売り場では、注文してから一杯に仕上げてもらえます。
バンコクなどのフードコートでは、食事の店だけでなくデザート売り場を見てみましょう。一部の食堂やタイ料理店でも扱いますが、どの店にもあるメニューではありません。看板やメニューの「ลอดช่อง」という文字も手がかりです。
写真を指さして、種類と一杯の値段を確認
初めてなら、実物やメニュー写真を指さして「ロートチョン」と注文すれば十分です。種類を確かめたいときは、次の表記を見せてください。
タイ式は「ลอดช่องไทย(ロートチョンタイ)」、シンガポール式は「ลอดช่องสิงคโปร์(ロートチョンシンガポール)」。一杯の価格や追加料金を確かめ、店で食べるか持ち帰るかを伝えます。指さし注文の表現は、タイ語で「これください」は何て言う?でも紹介しています。
トッピングを選ぶなら、タロイモや黒もち米も
ロートチョンは、生地とココナッツミルクだけでなく、ゆでたタロイモや黒もち米などと組み合わせて出されることもあります。タロイモならほくっとした食感、黒もち米なら粒をかむ感覚が加わり、一杯の印象が変わります。
最初はトッピングを少なめにすると、ロートチョン自体の食感が分かります。持ち帰りで汁と氷が別になっていたら、食べる直前に合わせます。袋入りなら、こぼさず混ぜられる器やスプーンも用意しましょう。
タイ式とシンガポール式、南部のロートチョン

米粉を中心に押し出す生地と、タピオカの長い生地
よく見かける二種類は、主に使う粉と作り方が異なります。注文するときは、次の違いが目安になります。
| 比べる点 | タイ式 | シンガポール式 |
|---|---|---|
| 主な粉 | 米粉(ほかのでんぷんを混ぜる配合も) | タピオカでんぷん |
| 作り方 | 加熱して練り、穴から冷水へ押し出す | 練った生地をのばして切り、ゆでる |
| 形の目安 | 短く、ふっくらしている | 細長く、つやがある |
| 食感の目安 | つるっと柔らかい | もちっと弾力がある |
いずれもココナッツミルクや甘いシロップ、氷と合わせます。色や盛り付けには店ごとの差があるため、緑色かどうかだけで種類を決めず、形と食感も見比べるのがポイントです。
「シンガポール」は、そのまま発祥国を示すわけではない
ロートチョンシンガポールという名前は、バンコクにあった「シンガポール」という映画館の前で売られていたことに結びつけて説明されています。KRUA.COの店舗取材でも、店の後継者が映画館と店名に由来するという見方を紹介しています。
この説明は、タイで「シンガポール式」と呼ばれるようになった名前の由来です。ロートチョン全体の発祥を示す話ではなく、タイで付いた呼び名として区別すると混乱しません。
南部には、サゴヤシのでんぷんで作るものもある
ロートチョンは、緑色の米粉タイプだけではありません。KRUA.COのタイ南部・トラン県での取材には、サゴヤシから採ったでんぷんを使うものが登場します。原料のでんぷんは薄茶色で、できあがりの色もいつもの緑とは異なります。
米粉、タピオカ、サゴヤシと、使う粉が変われば食感も変わります。南部の菓子を扱う店で見慣れない色のロートチョンを見かけたら、何の粉で作っているか尋ねてみるのも楽しみです。
参考:KRUA.CO「ลอดช่องน้ำกะทิ」、シリントーン人類学センター「กระโปะลอดช่อง」、KRUA.CO・タピオカ生地のレシピ、KRUA.CO・ロートチョンシンガポール店舗取材、KRUA.CO・トラン県のサゴヤシのロートチョン取材(材料・作り方・名前の由来・地域差の確認)

